代表取締役 清水 克彦 |
2019年6月5日 |
未来洞察と新事業開発 その1 活発化する未来洞察(2/2) |
■評価軸の難しさ 例えば、シナリオプランニングは、基本軸に沿ったシナリオに向いています。具体的には、経済変動、CO₂規制、価格動向などです。景気が良い、悪い。CO₂濃度をどこまで許容するかなどです。結論がひとつの指標で表せる(結論が線上に乗っている)もので、未来が読みにくいものを、楽観論や悲観論、リスクなどでシナリオ化します。ところが、基本軸(指標)がいくつもあるような事業開発などでは、シナリオは、多数、生まれてしまい、そのシナリオの評価軸が必要になります。その評価軸の作り方が難しいのです。 ■多数決の評価ではダメ 同じように、未来のアイデアを、多くの人が参加して発想(連想)するやり方は、大量に生み出されたアイデアを評価する必要があります。アイデアを集めて分析しても、そういう考え方の人が多いという結論にしかなりません。分析結果は陳腐なものになってしまいます。多くの場合、画期的なアイデアは、多くの人に否定されます。画期的なアイデアを評価・抽出できなければ、大量のジャンクなアイデアの海に沈んでしまいます。そこで「ありたい姿」という評価軸を持ってくるわけですが、これは、赤信号みんなで渡れば怖くない型の側面があります。イノベーションには、推進のためのエネルギーが必要なので、社内支持を集めようという意図もあるようです。しかし、ありたい姿は、必要条件であって、十分条件ではありません。 ■イノベーションの起きやすさは説明できる いずれの場合も評価軸が必要なのです。未来に適用できる評価軸があるということは、不連続な未来も予測できるということにつながるのですが、未来アイデアの評価軸は、残念ながら、まだありません。 しかし、どの領域でイノベーションが起きやすくなっているかは、わかります。そして、何故、そうなるのかを説明することができるのです。イノベーションが起こり易い領域とそのメカニズムがわかることは、未来洞察の助けになります。有望性を間接的に評価できることになるとともに、どの領域に集中的にアイデアを出せばいいかわかります。また、プランニングの有力な手掛かりにもなります。 (つづく) |
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