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2016年5月31日
「未来予測2016/2026」を発刊しました その2

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 代表取締役 清水 克彦
 2016年5月31日
 「未来予測2016/2026」を発刊しました その2
(続き)

 
例えば、「AIネットワーク」というトレンドキーワードがあります。弊社ではAIネットワークの重要性を2年前からロジカルに予測しています(残念ながら未来予測2013の時点では予測できませんでした。2014年の受託作業の深堀した検討でAIネットワークのインパクトの大きさが整理できました。HP上では2015年の年初から公表しています)。
 今ではAIブームが起こっていて、国家予算も格段に増え、各種の資料も盛んに作られています。では、何故AIのインパクトが大きいと予測できたのかといえば、社会の変化の幅広いトレンドを網羅的に評価し、重要度が高いと目されたトレンドを深堀する(本質的な意味を探る)検討を行ったことによります。

 「AIの重要性を予測したのは、東京創研だけではないよ。誰でも思いつくことだよ」という突っ込みを入れられそうですが、東京創研が予測しているのは「AI」ではなく、「AIネットワーク」というところに注目してください。AIの解説は盛んに行われていますが、インパクトが大きいのは、AIを組み込んだネットワーク型の社会実装なのです。具体的なイメージのいくつかは「未来予測2016/2026」にも例示していますが、企業の将来にとっては、AIネットワークでゲームチェンジが起こるかどうかが重要になります。単なるAIの導入は、分析ツールが高度化するにすぎません(それでも少なくないインパクトはありますが)。

 この辺のことは、未来予測2016/2026の冒頭の文章に書いていますので引用させていただきます。

〜以下、未来予測2016/2026より引用〜

ゲームチェンジはここから始まる

 近年、不振に陥った日本企業で、個別の技術に後れをとったことが要因であった例は、ほとんどみられない。逆に、ゲームチェンジ(競争条件の変化)に対応できなかったため、業績を悪化させた企業は少なくない。ゲームチェンジは、不連続に起こるといわれるが、本当だろうか。過去に起こったゲームチェンジは、現在からみれば、簡単に説明がついてしまう。ゲームチェンジが起こるメカニズムや実現度・インパクトの評価に課題があるともいえる。

 今後の10年で社会に最も大きなインパクトを与えるのはAIネットワークの社会実装である。しかし、単純にAIネットワークが普及しただけでは、大したインパクトはない。かつてのインターネット・PC・スマホの実装のように、多くの企業は、働き方や事業スタイルを変えるだけに留まる。企業の浮沈を左右するようなインパクトは、グローバリズムや欲求の高度化などのマクロトレンドにAIネットワークが結び付いてゲームチェンジが起こることによる。AIネットワークのインパクトは、インターネットの実装より大きいと予想されるが、AIは手段の拡張であって、重要なのはどのようなゲームチェンジが起こるか、または、起こせるかである。

 未来は、多くの因子が相互に作用しながら形成される。様々なトレンドが複合してゲームチェンジを生み出す。自動運転を例にとれば、技術的な課題が大きな論点だったステージは終わり、社会実装の方法やプロセスをどうするかに論点は移っている。社会実装の方法やプロセスは、マクロトレンドに大きな影響を受ける。高齢化・安全安心・産業政策・安全保障・環境・都市問題などの影響度の大きさが需要の論理の背景として作用し、ゲームチェンジの起こる方向性を左右する。また、日本の医療システムは、高齢化による負担増と健康志向による高度化要求があり、AIネットワークによるゲームチェンジが胎動している。勿論、業種によっては、AIネットワーク以外の技術やトレンドから、ゲームチェンジが起こるケースも予測されることはいうまでもない。

 未来予測データ、マクロトレンドデータは、重要性の認識が広まっていながら、企業活動からは「遠い」とされ、実際には、うまく使えていない。本書では、未来予測を企業活動に取り入れていくための方法を解説し、公益財団法人未来工学研究所(世界シンクタンクランキング科学技術部門第5位)やマクロトレンド研究に関する有識者の知見を交え、主要なトレンドの網羅的な整理、マクロトレンドの抽出や統合化、ゲームチェンジの起源やシナリオを探るものとしている。


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