東京創研ロゴ TOP 事業概要 会社概要 コラム お問い合わせ
Top事業概要自主企画・未来予測シリーズ未来予測2013/2023未来予測2013/2023内容見本     
本書の構成
内容見本
パンフレット
セミナー
お申込みフォーム
           
内容見本 抜粋
はじめに
 
 
 未来予測シリーズの発刊は今回で4回目(初回発刊は2006年)である。過去の未来予測は、基礎条件・基本潮流等の外部環境の変化に力点を置き、企業の競争条件にあたる戦略環境にはあまり踏み込んで来なかった。今回の未来予測は日本・日本企業の戦略環境の変化も解説として加えるものとした。また、すべてのデータを刷新し、入れ替えている。
 欧米の未来予測の多くは、日本の未来に対して悲観的な予測を行っている。高齢化による人口オーナスや失われた20年を根拠として衰退国としての道を歩むとしている。一人当たりGDPでは、10年以内に韓国に抜かれ、さらにその差が広がるという予測もある。これに対して、安部新政権は日本再生をテーマに掲げ、強い日本の復活にチャレンジするとしている。国の経済成長は、基礎条件や基本潮流に影響されるが、政権の安定性や政策、企業戦略にも大きく左右されるものでもある。また、前者が動かしがたい面を持つのに対して、後者は選択可能な未来である。日本・日本企業にとって今後の何年間かは、欧米の予測通りに進むのか、再び成長軌道に乗るのかの岐路になるだろう。
   本書では未来予測の視点から日本・日本企業の戦略環境における論点を抽出するものとしたい。日本は失われた20年の間にも様々な政策や企業戦略を試してきた。しかし、充分な結果は得られていない。このことは、今までの視点から考えた政策や企業戦略では不充分であることを示している。不充分になってしまった要因は外部環境の変化に対しての認識が足りないこと、あるいは過去の経験や根拠のない期待感がバイアスとなって冷徹な判断が出来ていないことにもよると考えられる。未来予測は、現状とありたい姿との認識のギャップを、現状のトレンドを拡張することによって鮮明に映し出す。本書では、未来予測を通じて、日本・日本企業の政策・戦略検討における踏み込んだ方向感を示したい。
 未来予測は正確な未来を予測することはできない。しかし、未来の方向性はある程度示すことができる。現状対応だけではビジョナルな事業運営はできない。中長期の計画が重要であることは言うまでもないが、中長期の計画には方向感が欠かせない。常に方向感の精度を高めていくことが、今日の日本・日本企業に重要な意味を持つと思われ、そのためにこそ未来予測が必要なのである。 
T.世界の未来潮流の解説と日本の選択

未来予測20132023
 〜世界の未来潮流とアベノミクス後の日本・日本企業

 
 第1章 未来予測の基本的な捉え方
 
 
 本書のシリーズは未来予測を三つのレイヤーでとらえている。第一のレイヤーは「基礎条件」として人口・資源などの制約条件と技術革新(基礎)など動かしがたい事象の予測、第二のレイヤーは、「基本潮流」として需要構造、社会の変化など大きなトレンド、そして第三のレイヤーとして、ビジネス環境、ビジネストレンドなどの「戦略環境」を設定している。第二、第三のレイヤー、特に第三のレイヤーは選択可能な未来であることから、前書まで(未来予測2011/2021以前)は第三のレイヤーは、企業各位の判断に委ねるものとして第一、第二のレイヤーに力点を置いた構造になっていた。しかし、第一、第二のレイヤーは既刊の未来予測でかなり取り上げていることや、クライアント各位のご要望、とりもなおさず日本企業はどこに活路を見出せばいいのかといった根本的な問題に応えるべく、本書冒頭では、レイヤー1、レイヤー2の解釈と日本・日本企業のポジショニングとその戦略について力点を置いた構成とすることとした。
 なお、技術革新については、基礎技術をレイヤー1として捉え、実用化技術の普及は、社会の変化としてレイヤー2で捉えている。また、個々の企業戦略はレイヤー3に属する。基礎技術は、後戻りしない一方的に進む変化であり、普遍的な変化である。従って、基礎技術としてのレイヤー1に位置付けている。
   また、本書では、技術革新とイノベーションを別の用語として使い分けている。イノベーションは、ビジネスモデル開発や社会革新など新技術によらない革新も含めた広義の意味として用いている。
 レイヤー1、2、3の大きな違いは、レイヤーの若い順に変化させることが難しい未来であることである。レイヤー1は、技術革新によって、ある程度の緩和策は取れるが、脱することはできない。レイヤー2の潮流は、選択可能であるが、潮流を理解しない戦略を取ろうとすれば、大きなエネルギーを必要とするか、取り残されることになる。レイヤー3の選択は、1、2の上に成り立つものである(図1)。

図1 未来予測の三つのレイヤー
     
○予測機関と3つの変化    
 未来の変化は、一方的に進む「構造的な変化」、波状に変化する「循環的な変化」そして不連続に大きく変化する「パラダイム変化」の3つに分けることができる。多くの事象は、「循環的な変化」に属するが、予測期間内では波状の一部が切り取られ、「構造的な変化」として扱われることも多い。例えば循環周期が50年とした時、予測期間が20年であり、現時点が循環の上昇期(または下降期)の前期にあたれば、その期間では、その変化は一方的に進む「構造的な変化」である。
 本書は、予測期間を10年としてる。10年間の理解を深めるためにも必要に応じて20年先、あるいはそれ以上の期間の予測も見ているが、焦点は10年間である。つまり、長期に循環的な変化の一部は、構造的な変化として捉えている。予測期間の焦点を10年間としている理由は、実践的に必要とする予測は10年で充分であり、10年先以降の予測は補助線として捉えればよいと考えるためでもある。
 10年間の予測において、データ的重要な視点は、「向きが変わる変化」と「桁が変わる変化」である(図2)。向きが変わるというのは、上昇トレンドが下降に転ずる、あるいは、その逆の場合を指すが、これは、循環的な変化におけるピークアウトを意味し、局面を大きく変える。
   日本ですでに起こっている「人口の減少」や「貿易収支の赤字化」などがそれに当たる。また、「桁が変わる変化」は、急激な変化を指し、情報通信技術に典型的に多く見られる。情報量、処理能力や記録量は桁が違う変化を続けており、社会の多くの事象に大きな変化をもたらすと予測される。パラダイムの変化は社会全体を変えるものから、業界のパラダイムを変えるもの、製品レベルでパラダイムを変えるものなど変化の規模によって、段階的に分かれるが、情報通信技術革新は各段階にパラダイム変化を起こすものと予想される。
図2 着目すべき変化の例
     
○予測の確度    
 未来予測には絶対確実というものはない。確度の高いものから低いものまで混在している。人口予測のように比較的確度の高いものから、1年後の株価のように専門家でもなかなか当たらないものまである。確度をどう捉えるかは、未来予測を使いこなすうえで重要な視点である。ビジネスにおいて、韓国人は80%の確率なら、すぐに投資するが、日本人は90%の確率になるまで詰めようとするといわれている。この話は、日本人のいくつかのビジネス上の弱点を隠喩している。ひとつは、日本人は、判断スピードの遅れ、あるいはタイミングを逃すことによる損失に鈍感であること、もうひとつは、日本人は確度の見極めがうまくできないこと、つまり、確度に対する相場観に自信がないことである。確度のレベルによってどう対処すればいいのか心構えができていないともいえる。未来予測では確度80%は、かなり高い確度である。しかも、それ以上に精査しても確度はわずかにしか上がらないし、それが表示されているわけでもない。確実ではないが、高い確率で起こるビジネスチャンス、日本人にとっては、危ないかもしれないビジネスチャンスにどう向き合うかの訓練が必要である。「まっとうな会社は、リスクを負うようなことはしない。」もし、そう考えるなら考え方を改める必要がある。「まっとうな会社はリスクを適切にマネジメントする」である。適度な失敗を含むチャレンジに最大の収益がある。確度を異常に高めたがる背景にはキャッチアップ時代の名残があるともいえる。    二番手なら、一番手の事例が使える。しかし、その時代はとうに過ぎている。未来予測に対する感度をもう少し上げていく必要がある。
 先の話のオチは、韓国ではオーナーのトップが決断するが、日本では、サラリーマン役員が保身に走りながら全会一致で合意しようとするからだとされている。しかし、このオチはおかしい。サラリーマン役員でも必要なタイミングで、適切に決断する訓練やしくみの整備がなされていなければならない。欧米のオーナー制でない企業が日本のような決断の仕方をするだろうか?日本企業は、未来予測への取り組みが足りないのである。
 本書は、一部に本書独自の予測を参考指標として掲載しているが、基本的には、できるだけ最高の確度を持つとされる公的データを引用している。出典は、それぞれのページに記している。しかし、公的なデータといえども、確度は最高であっても確実ではない。また、分野によって確度には差がある。確度を見切ることに留意していただきたい。また、未来予測は、常に修正される。10年先の予測は、年々数値を修正する。大きなトレンドが変更されることは、少ないが、微修正は常に行われる。現実の数値が変化することや、様々な影響度の分析が進むためである。マーケティングデータが常に更新されるのと同じ感覚で捉えないと、未来予測の精度を上げる競争について行けないのである。
     
○重要度、影響度と方向感    
 本書における重要度は、日本、および日本企業にとっての重要性を、世界と日本の枠組みで捉えている。その事象の重要度は、波及性の広さやインパクトの強さによって決められる。一方、未来予測をご利用になる読書の皆様は、それぞれの立脚点があり、重要度は、異なっているだろう。
 本書では、個々の重要度は判定できないため、できるだけ多角的に、できるだけ多くのデータをご提供している。
 重要度の判定に波及性の高さ(広さとインパクト)を挙げているが、ひとつの事象の変化が起因となって、他の事象に影響し、その事象に変化をもたらすことを、本書では影響度としている。波及性の高さは、他の事象への影響度をトータルしたものである(図3)。大きな波及性を持った変化を本書では、潮流と呼んでいる。今日の社会では、ネットワーク化が進み、以前より、影響度は強まり、発言は速まっている。他分野の業界の変化や他分野の技術革新が、素早く自分野に反映する。また、一分野の変化が連鎖して、玉突き式に自分野に及ぶことも珍しくなくなっている。言い換えれば、他分野の変化を自分野に素早く取り込むことが、ビジネスチャンスにつながり易くなっているし、立ち遅れれば、競争に取り残されやすくなっている。つまり、広範な変化の様相をウォッチし、自分野への影響をシミュレートすることが以前より重要性を増していると言える。
 しかしながら、未来予測における社会の変化の影響度は、わかり易いものばかりではなく、むしろ、わからないものの方が多い。そもそも、予測の確度にも限度がある。そこで、重要になってくるのは方向感を持つことである。方向感とは、潮流を掴むことである。本能的に未来に対する方向感を持っている方もいるかもしれないが、それでも、その方が裏打ちされたデータや事実を幅広く、できるだけ正確にもっているのと、そうでないのとでは、方向感の精度に差が生まれるはずである。方向感の良し悪しは、経営や事業戦略の成否に強く大きく影響する筈である。
  図3 波及性の例

未来予測2013/2023見本1
U.世界の潮流
未来予測2013/2023見本2
V.日本の潮流 
未来予測2013/2023見本3
W.市場予測
未来予測2013/2023見本4
X.技術予測
未来予測2013/2023見本5


ページのトップへ戻る


Copyright(C)2013 Tokyo Soken Inc. All Right Reserved.